5.生と死を別つ境界の古井戸 陽が昇り 嗚呼 汗塗れ 炊事洗濯全て 私の仕事 嗚呼 意地悪な 寡婦の口癖 「追い出されたいのかい?この愚図っ!」 なんて言うけれど___ 私は今日も お父さん 頑張っているよ! 陽が落ちて 嗚呼塵塗れ 炊事洗濯全て 押し付けた 嗚呼 性悪な 義妹の口癖 「言い付けられたいのかい?この愚図っ!」 なんて言うけれど___ 私は明日も お父さん 頑張ってみるよ! 父は船乗りだったのに、何故か井戸に落ちて死んだらしい。 だから私は、あまり井戸が好きではない。 それでも継母は、容赦などしないのだ・・・・。 井戸の傍で、糸を紡ぐ、指先はもう・・・・ 嗚呼、擦り切れて緋い血を出して、 紅く糸巻きを染め上げたから 洗い流そうと井戸を覗き込んだら、 水に焦がれる魚のように手から飛び出して、 その糸巻きは、井戸の底に沈んだ。 悲恋に嘆く少女、正にそんな勢いで___ 泣きながら帰った私に容赦なく、継母は言い放った___ 「この愚図っ!潜ってでも取ってきなっ!じゃなきゃ晩飯は抜きさっ!」 「この愚図っ!」    「取ってきなっ!」    「晩飯は〜抜きさっ!」 道急ぐ背中に、宵闇が迫っていた・・・・ 目覚めれば綺麗な草原。 幾千の花が咲き誇る。 異土へ至る井戸の中で、衝動を抱いた男に遇って、彼の指揮で憾み唄った。私は___ 死んじゃったの?天国なの?気の【ceui】 なの?分からないわ。 大丈夫!でも私は頑張るよ!お父さん、何時だって! 「こまっちゃった。あたしを、ひっぱりだしてぇ。ひっぱりだしてぇ。 もぅ、とっくのむかしにやけてるんだよぅ」 「マジで!」 「こまっちゃった。ぼくを、ゆすぶってぇ。ゆすぶってぇ。 もぅ、みんなじゅくしきってるんだよぅ」 「わぉ!」 喋るパンの願いを聞いて シャベルで全部 掻き出してあげたわ そして___ ひとつ残らず 実が落ちるまで 林檎の木を揺らし その後___ 散らばる林檎を 積み上げるだけの 簡単なお仕事 「キャー!!」 「形あるモノは、いつか必ず崩れ、 命あるモノは、いずれ死を迎えるのさ」 「これまで、よく頑張ったね。お前は強い娘だね。 でもこれからは、私のもとで働くなら、きっと幸せになれるわ!」 「うんっ、私頑張るっ!」 嗚呼 綺麗に舞い散る羽毛ぶとん 振るのが新たな私の仕事 嗚呼 地上に舞い落ちる雪の花 降るのは灼かな私の仕業 「キミが、もし冬に逢いたくなったら、私に言ってねぇん」 「あいたっ!」 大きな門が開くと 黄金の雨が降ってきて あっという間に 全身 覆った・・・・ 「キッケリキー!うちの、黄金のお嬢様のお帰りだよぅ」 日が替わり 嗚呼 黄金塗れ 炊事洗濯全て やらなくて良い! 嗚呼 低脳な 継母の入れ知恵 「貴女も貰っておいで 《可愛い実子》ちゃん!」 なんて言うけれど___ やれるものなら どうぞ 頑張っておいで! 「キッケリキー!うちの、バッチぃお嬢様のお帰りだよぅ」 日が過ぎて 嗚呼 瀝青塗れ ほら 怠惰な態度が 貴女の罪よ 自業自得だわ ねぇ___ これからは貴女も 必死に頑張ってみなよ!