8.磔刑の聖女 鈍色の足取り 決意で進める 背中に風を感じて 一度だけ振り返る 宵闇の匂いは 不思議と懐かしく 背中を押してくれる そう そんな気さえしたわ 押し寄せる 悲しみに 独り震えて 指でなぞる 遥か遠い約束 湧き上がる 憎しみの 脆く歪な 刻の果てに 闇を見つめ接吻  嗚呼  虚ろな儘 移ろう儘 歪な   嗚呼  罪 集 今 でも 忘れ   られない・・・・  今  尚   憶いだせ 愛を偽って生きるくらいなら 真実と共に死すことも厭わないわ 二人で見つけた野ばらが 君を包むことを願って墓標の周りに植えたけど 結局 遂の終まで咲く事はなかったね・・・・ 月光に恋をした鳥籠の白い鳥は、      地に堕ちると知りながら、最期まで羽ばたくよ。           だからこそ宵闇に唄うのは、憾みの唄じゃないわ・・・・。 焔を無くした君を縛る 冷たい鎖は 愛を亡くした 君を想う二人の愛憎 鳥は空へ 屍体は土へ 摂理を裏切り続けた 夜は明けて 終わりの朝へ 次の別離こそが永遠___ でも・・・・ 後悔などしていないわ 嗚呼 これが 私の人生 《門閥貴族の令嬢》 でも 《七選帝候の息女》 でもないわ 私は 《一人の女》 唯 君だけを愛した___ 唯の 【Elisabeth】