未熟な甲虫の呟き


書籍のご案内

撞着する積木(電子書籍)表紙

電子書籍「撞着する積木」

 
価格:\500+税
著者:那識あきら
表紙:篁ふみ
発行:パブリッシングリンク

あらすじ

進学校、楢坂高校の3年生・有馬志紀は、ある日、唐突に純潔を奪われてしまう。しかも相手は所属する化学部の顧問・多賀根。強引で一方的な行為だったが、多賀根が囁いた「好きだ」という言葉に惹かれるように、志紀は二度目、三度目と、彼の誘いに応じカラダを重ねていくが…。屈折した想いを抱える教師、純真無垢な愛を貫く女子高生、彼女にほのかな想いを寄せる幼馴染み…。すれ違い、嫉妬、三角関係ありの、官能学園ラブストーリー。(出版社のページより)

目次&冒頭

プロローグ
第一章 転轍
第二章 踏切
第三章 軌道
第四章 暗渠
第五章 隧道
第六章 折返
第七章 終点
エピローグ
 
 網の目のごとく絡まる無数の枝が、天を掴もうとその梢を必死に広げている。
 暦ではようやく訪れた春も、まだここまでやって来てはいなかった。葉を落とした枝枝の向こう、筋雲に覆われた空がまるで薄汚れた天幕のようだ。
 空の灰色、木の幹の黒。そこに、ひらりと白色がひるがえった。大木の傍に、小さな、小さな、白い人影。
 その人は、木を見上げて立っていた。白衣の裾を風に遊ばせながら、彫像のように微動だにせず。
 有馬《ありま》志紀《しき》は思わず足を止め、その孤影をじっと見つめた。

作者より

創作小説サイト「あわいを往く者」掲載「撞着する積木(プロトタイプ版)」の加筆修正版です。一〜六話のそれぞれにエピソードを追加、七話クライマックスにおいては15,000字を新たに書き下ろし、物語全体を再構築いたしました。
ケータイ向け配信サイトでの連載全七話を一冊にまとめておりますので、ラブシーン多めです。苦手な方はご遠慮ください。

主な配信サイト

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